登場人物:
中央/「SUN/kakke」デザイナー 尾崎雄飛さん
左/「Brift H」靴磨き職人 長谷川裕也さん
右/「muroffice」代表 中室太輔さん(進行役)
インタビュー
Crockett & Jones(クロケット&ジョーンズ)× SUN/kakke(サンカッケー)× 雑誌LAST 『究極の別注靴』発売記念スペシャルトークショー
本編開始
中室太輔(以下:進行):「Crockett & Jones」、「SUN/kakke」、「男の靴雑誌 LAST」のトリプルコラボレーション特別企画ということで、スペシャルトークショーを始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
そんな素敵なトークショーの司会進行を務めさせていただきます、ムロフィスの中室でございます。今回はお二人、スペシャルゲストとして登場していただきます。まずは「SUN/kakke」尾崎雄飛さんです。
尾崎雄飛(以下:尾崎):尾崎雄飛です。よろしくお願いします。
進行:そして、尾崎さんと靴の話をするならこの人しかいないだろうということで、「Brift H」の長谷川裕也さんです。
長谷川裕也(以下:長谷川):長谷川です。お願いします。
進行:簡単にプロフィールをご紹介させていただきます。まず尾崎さんですが、1980年生まれ、エディフィスのバイヤーを経て2007年フィルメランジェ立ち上げています。現在はSUN/kakkeデザイナー。自身のYouTube『洋服天国』も人気を集めています。
進行:続いて長谷川裕也さん。2008年にBrift H(ブリフトアッシュ)を立ち上げ、2017年ロンドンでの靴磨き世界大会で優勝するなど、日本を代表する靴磨き職人です。元祖靴磨き家で、靴磨きを路上の労働から世界的な芸術へと格上げしたパイオニアであります。
二人の出会いについて
進行:お二人の出会いは?
尾崎:僕が仕事に向かっている時に、角を曲がろうとしたら向こうから走ってきて、ぶつかって、二人の中身が入れ替わっちゃって…ありましたね、そんなこと。
進行:嘘つけ(笑)。
長谷川:来るのかなと思ったら来なかったですね(笑)。
尾崎:靴磨き選手権ですよね?
長谷川:今は大会を主催していますけど、そのきっかけが伊勢丹のアシスタントバイヤーの方が開いた飲み会だったんです。「ジャパン会」みたいな。いろんな職人さんとかデザイナーさんを集まっていて、そこで初めて会いました。もう10年ぐらい前ですね。
進行:じゃあ飲み会の席が初めてと。どんな会話がメインなんですか?靴の話?
尾崎:まあ真面目にね、政治と経済と野球とサッカーと…嘘つけ!
一同:(笑)
今回のコラボレーションモデルについて
進行:早速ですが、今回のトリプルコラボによって出来上がった、その名も「SUN/KAKKE」について。クロケット&ジョーンズで過去にモデル名にブランドネームが起用されたことってあるんですか?
尾崎:光栄なことに前代未聞のようで。これを着手するにあたって、イギリスのノーサンプトン(英国靴の聖地)にあるクロケット&ジョーンズの工場に行きました。正直そこに行くまではノーアイデアでした(苦笑)
進行:丸腰で?
尾崎:靴の別注だと「描いたとて」みたいなところがあるんですよ、できることとできないことが明確にあるので。工場に行くと大体アーカイブが飾ってあるので、そこからヒントがあるのかなと思って。で、実際行ったらアーカイブがこれ(店内の棚)の倍くらいの量が壁面にずらっとあって。古いものだと1930〜40年代のものから。
進行:それはえげつない量ですね。
尾崎:その中で、本別注のメイン的なデザインになるステッチ(つま先部分)によく似たものが、偶然にも60年代くらいのアーカイブにあったんです。そこで「やはり来てよかった」と思いましたね。アーチがずれて重なることで三角っぽく見えているデザインなんですけどね。
進行:知らなかったんですか?
尾崎:もちろん知らなかったです。
工場の技術と別注の経緯
尾崎:工場見学させてもらって製造工程を見たら、天才的なスタッフが揃っていたんですよ。すべての工程の職人たちの技術が凄すぎて、感動する場面がいくつもあったんで、「これくらいのことは絶対できるだろう」と思ってリクエストしました。
進行:長谷川さん、今回の対談のために磨いていただいたんですよね?ここすげえなってポイントありました?
長谷川:まず、箱を開けた瞬間にすごく良い匂いがするんです。燻製みたいな。
尾崎:あー、ロシアンカーフ(ロシアン・グレイン)の。
長谷川:それとオークバークのソールのオイルなのか分からないですけど、すごい良い香りがして。
磨いてくださいとご依頼いただいたんですけど、ファクトリーの仕上げがほぼ完璧なんですよ。僕がガッチリと磨いちゃうと野暮だなと思って、ほんのちょっとダークブラウンのワックスを乗せて、光を足したぐらいなんです。キャップの断面のコバを塗っているところとか、すごい丁寧な仕事だと感じました。
尾崎:この「ロシアン・グレイン」を使うのを決めて、ToeとVampはどうしようかなって時に、やっぱりカーフが良いかなと思って。トーンも合わせつつ、コバをダークブラウンに持っていく想定で、明るすぎず、暗すぎないバランスを狙いました。いい感じの主張というか、派手に見せたくなかったんですよ。
モデル名「SUN/KAKKE」の由来
尾崎:実はモデル名=ブランドというところにちょっとした裏話があって。クロケットの靴って基本的にモデル名があるんです。別注をしていく中で難しいのは、「御社のネームの下にウチのブランド名を入れてくれ」っていう時に断られることがあるみたい。「ダブルネームはダメ」とか、格式があるとかの理由で。
進行:なるほど、セレクトショップのネームが入るケースもありますね。
尾崎:クロケット側がわがままを聞いてくれたんで、これを作りながら、「ウチのロゴを入れるのは、それこそ"粋"じゃないな」と思ったんです。モデル名が入る分にはシックでいいなと思って、クロケット側のフォントに合わせて入れてくれと言ったら、「あ、いいよ。じゃあ、この靴のモデル名はSUN/KAKKEだね」みたいな感じで進めてくれたんです。
進行:引き出したわけですね!本来なら本家のモデル名に沿って、「MAGGIE 2(マギー2)」とかになるはずが。
尾崎:そうなんです。思ったよりもすんなり。だからこれは“スペシャル”です。
革靴の魅力について
長谷川:少し話は変わりますが、このコラボからも革靴の復調を感じます。コロナの時にみんなリモートになって格好もカジュアルになって、革靴を履かない人が増えたじゃないですか。このままだといずれ革靴の仕事が、「アンブレラローラー(傘を巻くだけの仕事)」みたいになっちゃうなと危機感を感じて。
進行:たしかに革靴とスーツは厳しい局面になりましたね。
長谷川:靴磨きの目線ですけど、革靴って新品も美しいけど、履いていくとシワができて、艶も増してきて、履き心地もしっくりきて、どんどん良くなっていくじゃないですか。これはスニーカーにはなかなかない楽しみだと思うんで、そこを推したい気持ちがあります。
尾崎:トータルコーディネートで考えた時に、絶対革靴の方がいいじゃんとか、これはスニーカーで外した方がいいなとか、差し引きする中で選ぶのが楽しさだと思います。スニーカーしか履いたことないよって方にも、この靴は伝えやすいかもしれないですね。「スニーカーもわかるけど、革靴も履く日があってもいいんだよ」みたいな。
購入するには?
進行:ここまで当作「SUN/KAKKE」を語ってもらったわけですが、購入方法は?
尾崎:嬉しいことに好評でかなり予約が入ってしまい、不定期に僕が開催する「SUN/kakke」の販売会で少し在庫があるのと、フレーム青山にも少量あるくらいですね
進行:えっ、それだけ?
尾崎:いつでもどこでも買える代物ではないんです。スペシャルなモデルなので、これくらいがちょうどいいかなと(笑)
進行:なるほど!ちょうどお時間ですので、今日のスペシャルトークショーはこの辺りで。ありがとうございました。
一同:ありがとうございました。(拍手)
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